大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和31年(あ)4601号 決定

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人施竜一の弁護人宮沢邦夫の上告趣意中第一点(一)(二)及び第二点は事実誤認の主張、第一点(三)は単なる法令適用の誤りの主張であり、同第三、四点は事実誤認及び量刑不当の主張であって、いずれも刑訴四〇五条の適法な上告の理由とならない。(同第一点(三)主張にかかる法令違反の点については、原判決が、被告人の所為は外国為替及び外国貿易管理法二八条に違反し同法七〇条九号に該当すると共に、同法七条六項、七〇条二号、昭和二四年大蔵省告示九七〇号に該当するものとした解釈は正当である。)

被告人ウイトール・レパスキーの弁護人戸田謙の上告趣意第一点について。

所論検察官調書に関し、所論のように供述者陳非民の米国への移住を許容することを条件として、同人を誘導して供述せしめた事実の存しないこと、また、所論のように右調書が故意に証人に対する反対尋問権を剥奪する目的をもって作成されたものでないことは原判決の認定するところであるから、所論違憲の主張は、ひつきよう、その前提を欠くものというの外なく、採用のかぎりでない。

同第二点は量刑不当の主張であって、適法な上告の理由とならない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例